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理学療法士が伝えるランニング情報ブログ。ランニングに対する「知識」「意識」を「Update」して、今よりも早く・楽しくランニングをしよう!

ランニングによる膝の痛み・ケガの対処方法~基本編~

 「ランニングしていれば、膝の痛みは当たり前」

そんな言葉をよく耳にするのではないでしょうか。

確かにランナーに多いケガには膝の痛みが含まれます。

あまりにランナーに多いため、「ランナー膝」というケガの名前が付くくらいです。

それだけ膝への負担もかかりやすいということになります。

また

一度膝の痛みが出てくると、

なかなかすっきりと治らず、

走ると痛みが出る、ということを繰り返すケースが多いことも

厄介なところではあります。

 

では、なぜ膝のケガが多いのか、

やはりヒール接地の影響が大きいのではないかと思っています。

過去の記事にも書いたように

koji0722.hatenablog.com

 ヒール接地では、膝関節を中心に運動を行っています。

また、

日本人はもともと骨盤が後傾しやすい、とも言われています。

骨盤後傾でのランニングはお尻に力が入りにくく、

より膝への負担が増えることに繋がります。

 

このように、様々な影響で膝のケガを引き起こします。

そこで今回は膝のケガに対して

①ケアの方法

②トレーニングの方法

③動作修正のポイント

の3つの視点で基本的な対処方法をまとめたいと思います。

 

①ケアの方法について

 

膝のケアを考える時に大切なことは、

膝を中心に上と下の筋肉をほぐすことです。

膝は下半身では中心に位置する関節のため、

上下にある筋肉からの影響をうけるためです。

そのため、痛みが出ているところの筋肉だけでなく、

上下セットで考える必要があります。

 

例えば、

膝の外側の痛みとして出てくる腸脛靭帯炎に対して

一般的には、もも外側をほぐそう!

と言われます。

しかし膝を中心に上をほぐすだけでは不十分で、

膝を中心に下もほぐす必要があるのです。

つまり、ふくらはぎの外側もほぐすことが必要になります。

 

膝の痛みが出やすい部位別でまとめると

膝前の痛み・・もも前とすねをほぐす

膝内の痛み・・内ももとふくらはぎの内側をほぐす

膝裏の痛み・・もも裏とふくらはぎをほぐす

膝外の痛み・・もも外とふくらはぎの外側をほぐす

 

このように

もし今現在、膝の痛みがある方は

痛みがある部位に対して、上下セットでケアをするように意識しましょう。

 また

膝周りに疲労が溜まりやすいと感じている方も

上下セットでケアをする意識を持ってみましょう。

より、ケガの予防に繋がると思います。

 

いろいろなストレッチの方法もありますが、

まずは簡単なマッサージから取り組んでみましょう。

ご自分の手で行ってもいいですし、

今は色んな道具が出ていますので、

そういったものも活用していきましょう。

おすすめの道具は下のマッサージ棒です。

似たようなものも出ていますので、一本あると便利です。

 

②トレーニングについて

 

膝の痛みがあるときに、

実際は膝周りの筋肉をトレーニングするということは少ないです。

先ほども書いたように、

膝は上下にある筋肉の影響を受けやすいため、

股関節や足首周りのトレーニングをして、

膝への負担を減らすことを考えます。

ここでは、説明が複雑になるため、

今後の各論の所でこれらのトレーニングについては書こうと思います。

 

今回は膝のケガを予防するために必要な、

膝の機能とその強化についてです。

ケガをしにくい膝にするために必要なことは、

しっかりと膝が伸びる(伸展)事です。

 

膝の動きは大きく、

曲げる(屈曲)と伸ばす(伸展)

とがあります。

また、極小さな動きですが、捻じれ(回旋)が生じています。

 膝の関節は

しっかりと伸びることで捻じれが生じ、

関節としての安定性が高い状態になります。

そのため、しっかりと膝が伸びていることがポイントです。

 

膝を伸ばす筋肉は、大腿四頭筋という筋肉です。

「四頭筋」という名前の通り、4つの筋肉が含まれています。

つまり、1つの直筋と3つの広筋です。

膝の安定性で特に大切なのは、

3つの広筋です。

外側広筋・中間広筋・内側広筋の3つで構成される広筋は、

膝の伸びと安定性に強く関与します。

そのため

これらの筋肉を強化しておくことが、

膝の痛みの予防や痛みの軽減に繋がってきます。

 

~トレーニング方法~

〇セッティング

 膝を伸ばす筋肉のトレーニングとして、

「セッティング」があります。

    f:id:koji0722:20200119180445j:plain

ポイント

 ・膝が伸びてお皿が動いている事

 ・膝の内側あたり(内側広筋)に力が入る事

  f:id:koji0722:20200119180535j:plain 内側にある内側広筋

 

今現在、膝に痛みがある場合

膝に力が入るため、痛みが出てしまう場合があります。

その時は無理に行わなずに、しっかりとケアをするようにして下さい。

膝に違和感がある人・時々痛みがある人は、

痛みが無い範囲でどんどん取り組んでみてください!

 

③動作修正のポイントについて

 

ランニングをしていて、膝に痛み・ケガ出るという事は

ランニングフォームで膝への負担があるということです。

そのため

どんなにケアやトレーニングを行ったとしても、

走れば痛みが出る、を繰り返してしまう事に繋がります。

しかし

ランニングフォームを修正することは、とても難しく

よほどランニング動作に長けた人でないと、

なかなか行えないのではないかと思います。

ましてや、一人で修正することは、とても難しいと思います。

動画を取って、分析することも一つの手ですが、

動作から膝への負担を分析することは、容易ではありません。

 

そこで

僕がおすすめしたい方法は、

片足立ち・スクワットの動作修正を図る

という事です。

これは以前の記事でも書きましたが、

練習前に行うトレーニングとしても、活用できます。

koji0722.hatenablog.com

 

では、なぜこの二つの動作かというと、

ランニングで膝に負担が掛かる場面は、

サポート期つまり身体を支えている時です。

またサポート期では、

片足で下半身の関節は曲がる(屈曲)している状態です。

つまり

片足立ちとスクワットを行った時に

膝周りで支えていると感じる人は、

走った時も膝周りを中心に身体を支えていることになるのです。

 

下の写真は、

膝に負担が掛かっていると思われる人の片足とスクワットです。

                      f:id:koji0722:20200121225111j:plain
ポイントは

骨盤が後傾して、膝が中心に曲がっている点です。

この姿勢で動作を繰り返すと

膝周りが疲れてくると思います。

 

そうなってしまっている人は

下の写真を参考に二つの動作を修正してみてください。

        f:id:koji0722:20200121230622j:plain

修正のための細かいトレーニングもありますが、

まずは真似をして、工夫して行ってみましょう!

段々と

お尻ともも裏の筋肉を使えるようになってくると膝への負担を減らせます。

 

複雑なランニングフォームを修正するより、

ランニングを必要な要素に分解した

シンプルな動きの方が、修正がしやすいと思います。

 

ぜひ、普段行っているトレーニングに

織り交ぜて行ってみてください。

 

 

ランナーの膝の痛み・ケガは多く、

なかなか治りにくい厄介なものです。

今回の基本編で書いた

・ケア ・トレーニング ・動作修正

の3つを意識してみてください。

 

「ランナーだから膝の痛みは仕方がない」

そうゆう風に言う人もいるかもしれませんが、

ケガをしてしまっては、何も楽しくありません。

ぜひ、ケガなく楽しくランニングを続けられるようにしましょう。

 

疑問・質問・相談などなどありましたら、

なんでもご相談下さい。

 

今後、膝の痛み・ケガについては各論として

それぞれの痛みの部位別にも書いていこうと思います。

お楽しみに~